誰も解決できていない問題を解決したいと思って起業
―メルカリから調達を受けて、初めて知った方も多いと思うのですが、簡単に事業内容や今までの歴史を教えてもらえますか?(近藤)
会社を始めたのが2019年で、今5期目になります。
大学の時から漠然と何かやりたいみたいなことは考えていたのですが、やれることもないし能力的にも何かこれが得意みたいなものもなかったんです。
当時、スニーカー市場がめちゃめちゃ大きくて、年間にグローバルで5倍、5倍のペースで拡大していて、それに伴って偽物がいっぱい出ていたんですね。
その時に、 偽物の問題って昔からあるけど、誰も解決できてないことに気づきました。
それについて共同創業者のCOOと話をしている中で、鑑定士を見つけてきたんです。ただ、一人の鑑定士に全て任せてしまうのは不安じゃないかということで、鑑定士を複数人に増やしました。
そしたら管理がすごく大変で。これはきっと、同じ課題を抱えている人がたくさんいるなと思い、スグに登記してサービスを始めました。
その頃、スニダン(スニーカーダンク)がローンチしたタイミングで、2ヶ月後くらいに提携をしました。彼らのトランザクションが伸びるのと一緒に自分達も伸びていったという感じです。
―スニダンが大きくなるタイミングでどんどん大きくなっていって、途中でAIもリリースしていますよね?(近藤)
全てを人がやると、どうしても労働集約型になるのでスケーラビリティはどうするんだという課題が生じます。 じゃあもうAIを作ろうかということで、本格的に稼働したタイミングで、めちゃくちゃいい時期にChatGPTが出てきたんです。
ただサービスとしてはAIに全部頼っているわけではなく、AIと人の両輪でやっているんですが、会社としては「AIカンパニー」という見せ方になってきていると思います。
―元々、大学生の頃も起業していたんですか?(近藤)
大学2年生の時に1社目をつくって、その過程で今のCOOに出会っているんです。
最初は、アメリカや中国からスニーカーを買い付けてほしいという依頼があり、元々僕も中国語が喋れたのとCOOが中国人だったことがあり、、そこから事業をはじめました。
ただ扱う金額が大きい分、「これが偽物だったらやばいな」ってなるじゃないですか。それで鑑定士を入れて、複数人にして・・・と、今の事業に繋がっていくんです。
以前の事業は在庫リスクもあって、利益率が悪いのでうまいビジネスではないと感じていて、無形商材でやりたいとずっと考えていたんです。そこで1社目は売って、そのあとにフェイクバスターズを始めました。
―いつ頃から起業を意識していたんですか?(近藤)
もともとはスタートアップ的な動きをしようとは思っていなくて、普通にお金を稼ぐことを考えていたんです。親が会社をやっていたのをずっと見ていたので、人の会社で働く姿って想像できなかったんですよね。
早く動いた人だけが失敗も成功も出来る
―1社目からはじめて7年〜8年経ってみて、苦労したエピソードや良かったエピソードを教えてもらえますか?(近藤)
あまり苦労したって思うことはないんですけど、強いていえば、スニダンが急速に伸びていく中でずっと一緒にやってきたんだけど、ある時に「今後は内製化も進めていこうと思います。」という流れになって、トランザクションが急速に減っていったんです。
それは辛かったけど、結果的にそれで尻に火がついて死に物狂いで働いて新しいことを始めて、それが結果的に実を結びました。
スニダンの一強体制からの脱却を意識したのがそのタイミングですね。
あのレベルで大きいマーケットプレイスは何個もありません。スニダンはソフトバンクから出資を受けていたので、今回たまたまメルカリに繋がって興味を持っていただけたのは本当に嬉しかったです。
今回、出資のリリースも出せることになり、それがかなり異例のことらしいので、本当にありがたかったです。
―今後はAIの領域でどのような展望を描いているんですか?(近藤)
世の中には、スニーカーやバッグだけじゃなくて、薬とか化粧品とかの偽物もたくさん出回っているんです。
そういうものを含めて全部、鑑定できるだろうと思っています。
もちろんAIにも力を入れるんですが、実はうちは人が競争優位になっているんです。
有名な鑑定士が所属していて高い給料も出せるので、優秀な人材が集まって高い精度が出せています。
今後は、特定の領域ではBPOに徹しながら、M&Aなども含めてグローバルで自分たちのマーケットプレイスをつくりたいと思っています。
―学生起業家のメリット、デメリットを聞いているのですがどう考えていますか?(近藤)
僕はメリットが圧倒的に多くて、若ければ若いほどいいと思っています。
今、28歳で新しく何かをやろうとなったら、やっぱり一歩目が一番重たいんです。
だから失敗してもやり直せる、失うものがなにもない学生は一番強いと思います。
荒いものをつくって、ぶつかりながら揉まれてだんだん洗練されていく過程は、早いに越したことはないと思います。