学生のうちに事業を始めた人には、授業や研究と顧客への約束を同時に抱えながら、毎日判断を重ねている人がいます。周囲に同じ立場の人が少なく、自分の迷いをどこまで話してよいか分からないこともあるでしょう。GSEA委員として、私がまず伝えたいのは、事業が完成してから挑戦の場に来る必要はない、ということです。
もちろん、GSEAは事業のアイデアだけを発表する大会ではありません。対象は、在学しながら自ら事業を所有・運営している学生起業家です。ただ、事業を動かしていることと、すべての答えを持っていることは別です。顧客が見つかっても、価格が決まらない。仲間が増えても、役割分担が定まらない。売上が立っても、次に何を優先するか迷う。そうした途中経過も、起業家としての現在地だと思います。
QUICK TAKE / この記事の要点
- 完成した成功談より、事業の現在地を自分の言葉で伝える
- 顧客との対話と、試して変えた判断を具体的に話す
- 大会で受け取った問いを、次の行動に持ち帰る
事業の「今」を、自分の言葉で話してほしい
大会に向けて、きれいな成功談を用意しなければならないと感じるかもしれません。しかし、聞きたいのは成功だけではありません。なぜその課題に取り組み始めたのか。実際に誰と話し、何を試し、何が予想と違ったのか。そこから何を変えたのか。具体的な行動と判断が見えるほど、事業の輪郭も、あなた自身の考えも伝わりやすくなります。
例えば「多くの人を助けたい」という思いだけでは、最初の顧客に何を届けるのかは見えません。一人の顧客との対話から分かった困りごとや、提供方法を変えた理由まで話せれば、聞く側もより具体的な問いを返せます。言葉に詰まる部分があれば、それは次に確かめるべきことを見つける手がかりにもなります。
GSEA委員として、私がまず伝えたいのは、事業が完成してから挑戦の場に来る必要はない、ということです。
宮沢光平・GSEA委員としての見解
順位の先にある対話を持ち帰る
GSEAは大会ですから、審査と結果があります。しかし、結果だけで、その事業や起業家の可能性が決まるわけではありません。自分と異なる経験を持つ起業家から質問を受け、同じように学業と事業を両立する参加者に出会い、自分の説明がどこまで届くかを確かめる。その機会をどう使うかは、参加者一人ひとりに開かれています。
厳しい質問を受けたときも、すぐに正解を返すことだけが大切なのではないと思います。分かっていることと、まだ確かめていないことを分けて話す。仮説を持ち帰り、顧客や現場で検証する。そうした姿勢は、大会後の経営にもつながるはずです。
応募を迷っているなら、まず今の事業を紙に書き出してみてください。誰の、どの困りごとに向き合っているか。これまでに試したことと、次に確かめたいことは何か。説明できない箇所があっても、それが応募を諦める理由とは限りません。実際に事業を運営する中で生じた問いを持って参加することもできます。GSEAの場で得る言葉を、自分の事業に合う形で選び、使ってほしいと思います。
事業を続けるうえで、周囲と違う進路を選んでいるように感じる日もあるでしょう。GSEAには、学生でありながら経営者でもある人が、自分の挑戦を真剣に話せる場があります。あなたの事業の現在地を、ぜひ持ってきてください。
TRY THIS / 持ち帰る問い
応募前に書き出してみる3つの問い
- 誰の、どんな困りごとに向き合っているか
- これまで何を試し、何が予想と違ったか
- 次に何を確かめたいか
※本記事はGSEA委員として活動する筆者の経験と見解に基づく寄稿です。EO全体の公式見解を示すものではありません。