学生起業家が自分の事業を発信する場所は、以前より増えています。SNSで顧客と出会い、オンラインで仲間を探し、事業の進み具合を伝えることもできます。その一方で、日々の発信だけでは得にくいものがあります。自分の判断を、異なる経験を持つ経営者に問い直してもらう時間です。私はそこに、GSEAへ参加する意味の一つがあると考えています。
GSEAは、在学中に自ら事業を所有・運営している学生起業家のための大会です。単に新しいアイデアを並べるのではなく、なぜ始めたのか、これまで何を試し、事業と自分自身がどう変わってきたのかを伝える機会です。数字や計画も大切ですが、それを生み出した行動と、次の選択をどう考えているかにも目を向けます。
QUICK TAKE / この記事の要点
- 応募準備を、事業を整理する節目にする
- 異なる経験を持つ経営者の問いを現場で確かめ直す
- 同じ立場の学生起業家と出会い、視野を広げる
事業の説明を、現場へ戻せる問いに変える
起業を続けていると、目の前の課題を処理するだけで一日が終わります。応募の準備は、顧客、提供価値、収益、仲間、社会への影響をいったん見渡すきっかけになります。「誰が最も困っているのか」「今の方法を選んだ根拠は何か」と問われれば、自分の前提が見えることもあります。
問いへの答えがすぐに出なくても構いません。大切なのは、その問いを次の顧客インタビューや実験につなげることです。GSEAで得た反応が、そのまま事業の正解になるわけではありません。外からの視点を材料に、現場で確かめ直す。そうした往復に価値があると思います。
応募書類を作る時間も、単なる大会準備で終わらせる必要はありません。いま使っている事業の説明を読み返し、顧客に届ける価値と実際の利用状況にずれがないか考える。仲間が同じ方向を見ているか話し合う。忙しいと後回しになりがちな確認を、締切という節目に合わせて進められます。応募の結果にかかわらず、そこで整理した言葉を次の営業や採用にも生かせるでしょう。
同じ立場の仲間と、違う世代の起業家に出会う
「学生」と「経営者」の両方であることは、独特の難しさがあります。学業との時間配分、卒業後の選択、友人との関係、事業の責任。身近な人に相談できても、同じ条件で挑戦している人にはなかなか出会えない場合があります。
GSEAでは、他の学生起業家の挑戦に触れることができます。業界や事業の規模が違っても、迷いながら決め、試し、修正している姿から学べることがあります。EOの起業家との対話も、自分たちだけでは見えにくかった選択肢を考える助けになるでしょう。ただし、誰かとの出会いや具体的な事業成果が約束されるものではありません。自分から問いを持ち、対話を使う姿勢が重要です。
外からの視点を材料に、現場で確かめ直す。そうした往復に価値があると思います。
宮沢光平・GSEA委員としての見解
地域から、その先の舞台へ
東京大会から日本大会、地域大会、世界大会へと挑戦がつながる可能性も、GSEAの特徴です。異なる場所で自分の事業を説明するには、課題を共有していない相手にも届く言葉が必要になります。その準備自体が、自分たちの事業を見つめ直す機会になるはずです。各大会への進出は年度の選考方式と結果によって決まるため、最新の公式案内をご確認ください。
私が学生起業家の皆さんに伝えたいのは、応募時点で「完成した起業家」に見せる必要はないということです。すでに事業を動かし、顧客と向き合い、次の判断を考えているなら、その過程を自分の言葉で持ってきてほしい。大会を、肩書きを得るためだけでなく、事業を前に進めるための節目として使っていただけたらうれしいです。
TRY THIS / 持ち帰る問い
GSEAを事業の節目にする3つの問い
- 顧客に届ける価値と実際の利用状況は合っているか
- いま選んでいる方法には、どんな根拠があるか
- 大会で受けた問いを誰と、いつ確かめ直すか
※本記事はGSEA委員として活動する筆者の経験と見解に基づく寄稿です。EO全体の公式見解を示すものではありません。