【株式会社M&Aクラウド 代表取締役CEO 及川厚博さん】自分の生きる軸として選んだ起業家

学歴のコンプレックスと18歳で決めた起業家の道

―なぜ学生起業をしようと思ったのか、教えてもらえますか?(近藤)

21歳の時に起業をしました。3年生…いや4年生の5月かな?
昔から「歴史に名を残したい!」というのが、生きる軸みたいなものになっていて、高校では空手でインターハイにも出ました。

スポーツの名門だったから、死ぬほど頑張ったけどスポーツは結果に対して、
結果 = 才能 ✕ やり方 ✕ 努力みたいな方程式になると思うんだけど、その時に「スポーツは結果に対して才能の占める割合多くない?」みたいに感じて引退して、部活にずっと集中していてあまり勉強もしてこなかったので第一志望には受かることが出来ず、東洋大学に入りました。

18歳の時には政治家か起業家の道に進もうって思ったんだけど、政治家は血筋が大事だとわかって、18歳で起業家になろうって決めていました。

―なるほど、じゃあ大学1年生の頃から、起業家になるための逆算思考だったんですね?(近藤)

18歳の時に、大学のキャリアセミナーに行ってみたら人生の計画を書かされたんです。その時に、大学生の時に会計士を取って、監査法人に入って、コンサルに行って、30歳で起業って書いたんです。
受験とか学歴コンプレックスもあったから、わかりやすく会計士の資格とかを取ろうと考えていました。(笑)
でも、簿記一級は取ったんだけど会計士は落ちちゃったんで、一回就活しようかって思って就活したら、大手コンサルに受かったんです。

―就活もしたんですね!(近藤)

メチャクチャ就活して、メチャクチャ落ちました。
2011年って、震災があったり不況だったんだけど、大学3年の2月にコンサルに前倒しで受かったから、「あれ、起業も前倒しでできるんじゃないか」って思ったんです。
入社まで一年ちょっと時間があるから、起業サークルに入って、起業プランがあったから、エンジニアのやつを捕まえて、やろうぜ!と。
大学4年の5月かな?個人事業主登録して、やってみたんです。
最初は学生向けのmixi(ミクシィ)とか、LinkedInみたいな意識の高いものを作りたいと思ってました。

―会社は調子良かったんですか?(近藤)

全然ダメダメ(笑)
10月1日の内定式の直前で悩んだんですが、最終的に内定辞退しました。

就職よりもチャレンジを選んで起業

―某コンサルティング会社に行こうとしていたんですか?(近藤)

そうそう、東洋から某コンサルティング会社はスゴいんですよ。同期の中では珍しい。
結局、スポーツで考えた時、同期ナンバーワンで早めにレギュラーとったやつがいい試合出て、勝ちやすいってのがあるから、起業するんだったら、会社でも同期ナンバーワン取って、辞める時に仲間集めて起業したいじゃないですか。
ナンバーワンとかじゃないと付いてこないと思うんですよね。

でもコンサルティングってわりと出身校の繋がりも大切じゃないですか。
就活は結果的に、自分の実力から見たら大成功したんだけど、コンサルティング会社に入って起業しようと思った時に、実は分が悪いんじゃないかって思ったんです。
それであれば、学生起業してアップサイド取りに行く方がいいんじゃないかと思ったんですよね。
それで、内定を辞退して起業したんだけど、一旦リスクヘッジのために休学して、親父にも結果でなければもう一回就活しますと約束しました。

その後、フェイスブックページを制作する仕事を始めたり、学生インターンを集めてレンタルスペース事業を始めたり、エンジニアもたくさん集めて、海外でのオフショア開発事業にも挑戦しました。
それで24歳の時に、売上で4億、利益4000万、社員30名チョットみたいな会社になっていました。

―これまでの起業家人生十年、一番よかったことと言える範囲の一番大変だったことのエピソードを教えてもらえますか?(近藤)

いろいろありましたけど、よかったことのほうが思いつかないものですよね。(笑)

M&Aクラウドでいうと、自分がCEOになって、社員50人くらいまでは垂直で伸びていきました。
M&Aのプラットフォームなんで、M&Aがわかっていて、プロダクトもわかってみたいに、結構広い知識がないとできないんですよね。
当時は自分しかできないっていう思い込みがずっとあって、プレイングもしていたんです。
その中で「オレが決めたらこう」っていう感じのマネジメントを、スピード優先だし、結構やっていきました。
ただそうすると、経営のレポーティングは最小限になって自分以外の経営陣からみると、情報が見えにくいし、その中で伸び率が落ちてくると任せてらんないってなっちゃって…それがツラかったですね。

そこで事業から外れて、コーポレートサイドをやるようになったんですが、経営メンバーをシャッフルしたことによってお互い見える情報が変わったから、経営が回るようになっていきました。ゼロイチの時は、プラットフォームとして垂直に伸びるまでトップダウンでやるっていうのは多分良かったんだけど、それをやりすぎてしまったばっかりに、うまくいかなかったと今は考えています。

本気でやったからこそ気付けたことがたくさんある

―今回、学生起業家ってのがテーマなんですけど
学生から起業すべきかってどう思いますか?(近藤)

学生起業の良さは、多分、時間じゃないですか?圧倒的に。
そこのメリットを活かすというか、トライ・アンド・エラーができるっていうのは大きいですよね。個人的には、M&A屋さんなので、一回売ってもう一回やればいいと思ってます。

―そういう風に言う人もいますね。二回目が勝負だ、みたいな。(近藤)

起業家は市場選定スキルってすごい大事じゃないですか。市場選びとタイミングで、その会社のポテンシャルが決まったりするじゃないですか。学生起業家は時間もあるし、トライ・アンド・エラーもできて、リスクも少ないからやってもいいんだけど、そもそものスキルセットがまだ追いついていない。
特に市場選定って最もレバレッジかかるけど、市場は一回目の起業で、一番レベルが低いタイミングで決めないといけないし、大きく変えられないですよね。

だからベストプラクティスとして、一回売ってそれを学びにして2回目のチャレンジをするっていうのが合理的じゃないかと思ってます。

今の学生起業家に向けた応援メッセージ、激励の言葉はありますか?(近藤)

激励の言葉?起業しろ、って感じかな(笑)

起業家はよく原体験とか聞かれることもあるけど、自分の場合、学生起業した時に原体験とかはなくて、歴史に名を残したいっていうか、ただただ「想い先行」っていう感じでした。
やっていく中で自分のやりたい事業領域とかは見えてきたタイプなんですよね。

よく起業は手段とか、社会を良くするために起業しましたみたいに言われることもあるけど、これは好きじゃない(笑)
例えばイチローも、世界の子どもたちに夢を与えるために野球という手段を選んでいるとは言わないし、野球が好きだからやってると思うんですよ。

お金が欲しいとか有名になりたいとか、歴史に名を残したいとか、偉人になりたいとか、起業したい理由なんてそれでいいと思うんですよね。もちろん、理由によっては事業ピボットしちゃいそうとか大きくならなそうとか投資家は言うと思うんですけど、自分に正直にやった方がサステイナブルだと思います。
自分は「起業したい」とか、「ビジネスをはじめたい」っていう謎のワクワク感ではじめていいし、何か言われても気にする必要はないって思います。

ただ、大事なのは本気でやること。
自分の人生でいうと、空手を本気でやった結果、さっきの
結果 = 才能 ✕ やり方 ✕ 努力
で、好き嫌いや得意苦手などを含んだ才能以外の変数をマックスにして、このフィールドは合わないってことがわかりました。
学生起業家一社目の時にも、自分はどんな分野でもできると思ってヘルスケア領域で始めたけど、意外と好きじゃない領域があるんだと気付く機会になりました。
自分がホントは何がやりたいかとか、何が得意なのかは本気でやらないとわからないので、本気でやりきれる領域を見つけてPDCAを回してほしいと思います。

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